@misc{oai:sucra.repo.nii.ac.jp:00010260, author = {金杉, 昭徳}, month = {}, note = {v, 131p, ジョセフソン素子は、超高速スイッチング、低消費電力、磁界に関する高い感度など電子デバイスとして多くの優れた特性を示す。このため近年、エレクトロニクスの諸分野においてその応用研究が活発に進められている。例えば、超高速コンピュータ、超高感度磁気検出器、低雑音ミリ波受信器などである。 ジョセフソン素子の特徴の一つとして、素子の両端の電圧に比例する周波数の交流電流を発生する現象がある。しかしながら素子の持つ強い非線形性により、振動現象は極めて複雑なものとなっており、現在、十分には解明されていない。 本研究は、ジョセフソン機能デバイスの開発を目的として、ジョセフソン素子回路に生じる非線形振動現象の解析を行い、さらに振動の影響を考慮した配置配線手法を提案したものである。 本論文の第1章では、本研究の背景として、従来の半導体素子に対するジョセフソン素子の優位性、特徴、応用分野、そして解決すべき課題を示し、本研究を行った背景と目的について述べ、さらに本論文の構成と各章の概要についてまとめている。 第2章では、ジョセフソン素子の構造と基本的な特性を示した後、この素子を用いた回路に生じる典型的な非線形振動現象とその解析手法について述べ、最後にその定常振動波形を求める一解析手法として、調波平衡法を基にした手法の提案とその結果について述べる。本章で述べる解析結果は、第2高調波成分が基本調波成分に匹敵するような例においても精度良く解が求まることを示しており、ジョセフソン素子回路に生ずる振動成分の解析手段として有効である。 第3章では、ジョセフソン素子回路に生じる振動姿態全容の解明を目的として行った解析について述べる。まず、自律系の解析手法として、シリンダ状態空間を、位相を一定とした面で切断したポアンカレ写像平面を考え、この平面上の点の接合電圧軸上への写像、および平均電圧によって振動形態を観察する方法を提案し、回路定数と振動姿態の大域的関係を調べている。また、ジョセフソン素子を2つ結合したSQUID回路について、従来報告されていない同期モードについて明らかにしている。さらに、ウェーブレット変換をジョセフソン素子回路に適用し、振動姿態や分岐の様子が明確に判別できることを示し、その有効性を明らかにしている。 第4章では、ジョセフソン素子回路に生じる各種振動姿態と回路定数の関係の明確化を目的とし、オペアンプを用いたアナログ回路によってジョセフソン素子をシミュレートして、実験を行った結果について述べる。本章では回路設計に有用な、新しい知見および資料を提供している。 さらに第5章では、ジョセフソン素子を用いた微小磁界計測において重要な役割を果たしている弛張振動に焦点を絞り、回路定数との大域的な関係を解析している。その結果、単素子回路では各振動姿態の境界はバイアス電流と負荷側の抵抗の積でほぼ決定され、この値の増加に伴い、弛張振動から単周期振動へ変遷し、その間にカオス振動が存在することを示した。 第6章では、非線形振動による影響を考慮しながら、ジョセフソン素子回路を集積回路として製作するための配置配線手法を提案している。まず回路結線の構造、特に規則性を抽出するための新しい手法について述べる。この手法を用いて、同一の部分回路は同一のマスクパタンで製造することにより、振動姿態の複雑化を低減できる。さらに、非線形振動解析も簡略化でき、またジョセフソン素子回路の高速動作にも寄与できるものと期待される。 続いて第7章では、回路のレイアウトに関する新しい手法を提案している。本手法による配置結果は、従来よく用いられているMin-Cut配置法に比べ、仮想配線長による評価で約10%~20%の減少が得られ、浮遊インダクタンスを低減し、カオス振動の防止やジョセフソン素子回路の高速化に有効と考えられる。 最後に第8章は、本研究の総括と今後の展望について述べている。 以上本論文は、ジョセフソン素子機能デバイスの開発を目的とし、非線形振動現象の解析からマスクパターン設計に至るまでの一連の研究をまとめたものであり、これらの成果はジョセフソン素子応用システムの開発に大いに貢献できるものと期待される。, 指導教授 : 森末道忠, text, application/pdf}, title = {ジョセフソン素子回路の解析と設計手法に関する研究}, year = {1994}, yomi = {カナスギ, アキノリ} }