@phdthesis{oai:sucra.repo.nii.ac.jp:00010292, author = {真田, 修}, month = {}, note = {190p, 本研究は,近年,昭和30年代から急ピッチで整備された社会資本のうちのコンクリート構造物が,わが国の高度経済成長,人口増加,物流の高度化といった時代背景から,より一層の高耐久性化・長寿命化を求められていることに着目したものである。本研究の目的は,これまで水処理技術に多用されているイオン交換樹脂をモルタルに混和させることによって高耐久性コンクリート材料の開発を実現すべく,このモルタルでの塩化物イオン拡散特性を明らかにすることである。 本論文の構成は,まずは第1章で社会資本・インフラが置かれている背景・状況に触れ,イオン交換樹脂の概要を述べ,これまでのイオン交換樹脂を扱った既往の研究を紹介した。 第2章では,既往の研究では明らかとされていない,イオン交換樹脂が持つ塩化物の吸着特性(イオン交換能力),および塩化物の吸着を阻害する要因を2種のセメントを使って化学的分析により明らかとした。 第3章では,一般的に汎用されているセメントである早強ポルトランドセメント,高炉セメントおよびポリマーセメントモルタルを対象に,イオン交換樹脂を体積混入率にして数パーセント混入させた場合の全塩化物量の変化を電位差滴定法により把握した。また,EPMAによる塩分(Cl-)の面的な分布の把握を行い,イオン交換樹脂の混入量が多いほど,全塩化物量が多くなること,および塩化物(NaCl水溶液)の浸漬表面から比較的浅い部分に塩分(Cl-)が吸着・固定化されることを明らかにした。 第4章では,既に塩分が含有されているコンクリート構造物を模擬したモルタルに,イオン交換樹脂を混入させた補修用モルタルを貼り付ける実験を行い,間接的ではあるが,イオン交換樹脂が塩分含有モルタルの内部に存在する塩化物イオンを補修用モルタル側へ移動させる働き・特性があることを全塩化物量の定量およびEPMAによる塩分(Cl-)の面分析によって明らかにした。 第5章では,第3章から得た知見をもとに,既存の界面吸着理論を用いて,塩分浸透実験によって得られた経時的な全塩化物量をある程度の精度でシミュレーションできないものかの検討を数値解析により行い,イオン交換樹脂が混入されたモルタルでの新たな塩分浸透予測モデルを提案したことを述べた。 第6章では,第3章および第4章の結果から,イオン交換樹脂が混入されたモルタルが補修材料として用いられる場合を想定し,鋼材の腐食環境へ与える効果を検証した。具体には,ミクロセル腐食およびマクロセル腐食の発生を模擬した供試体を作製し,乾湿繰返し環境のもと,経時的に自然電位,分極抵抗,腐食電流密度,コンクリート抵抗(比抵抗)を計測把握した上で,イオン交換樹脂を混和させたモルタルは塩分含有モルタルに配置される鋼材の腐食環境を改善する特性を有することを明らかにした。 第7章では,第6章までの室内試験結果を基に,実構造物における補修(断面修復)工事でイオン交換樹脂入りポリマーセメントモルタルを試験的に施工した内容を詳述し,補修用材料としての品質およびワーカビリティには問題が生じていないことを示した。 以上の試験(実験)および検証の結果,イオン交換樹脂が混和された新たなモルタルは,従来のモルタルと比べて,塩化物イオンを吸着すると同時に拡散を抑制でき,補修材として使用される場合における鋼材の腐食発生の可能性をこれまでよりも小さくしえる特性を有するものであることを明らかにした。, 第1章 研究の背景と目的 1.1 本研究の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1.1.1 背景 1.1.2 コンクリート中の塩化物と鋼材腐食のメカニズム 1.1.3 塩害対策の現状 1.1.4 イオン交換樹脂とこれを用いた既往の研究 1.2 本研究の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 1.3 本論文の構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 【本章の参考文献】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 第2章 化学的分析によるイオン交換能力と選択性 2.1 化学的分析の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 2.2 早強ポルトランドセメントを用いた化学的分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 2.2.1 使用材料および分析手順 2.2.2 分析結果 2.3 アルミナセメントを用いた化学的分析および選択性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 2.3.1 使用材料および分析手順 2.3.2 分析結果とイオンの選択性 2.4 本章のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 【本章の参考文献】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 第3章 塩分浸漬試験による塩化物イオン吸着効果の検証 3.1 塩分浸漬試験の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26 3.2 供試体の作製,浸漬,圧縮強度およびヤング率 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 3.2.1 供試体の作製および浸漬 3.2.2 供試体の圧縮強度およびヤング率 3.3 吸着効果の検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 3.3.1 電位差滴定法による全塩化物量の定量 3.3.2 EPMAによる塩化物(Cl-)の面分布 3.4 イオン交換樹脂の混入量と全塩化物量との関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36 3.4.1 セメント種別ごとのイオン交換樹脂の混入量と全塩化物量の関係 3.4.2 早強ポルトランドセメントを使用した場合の経時的な全塩化物量の変動 3.4.3 高炉セメントを使用した場合の経時的な全塩化物量の変動 3.4.4 ポリマーセメントモルタルを使用した場合の経時的な全塩化物量の変動 3.4.5 イオン交換樹脂が吸着可能な塩化物量に対する経時的な吸着割合 3.5 EPMAによる塩化物の分布状況の可視化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57 3.5.1 概要 3.5.2 供試体の作製,分析用試料の作製,分析機器 3.5.3 早強ポルトランドセメントでのEPMA結果 3.5.4 ポリマーセメントモルタルでのEPMA結果 3.6 本章のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65 【本章の参考文献】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66 第4章 イオン交換樹脂が塩化物含有モルタルの内部から表面方向への塩化物イオンの拡散に与える影響 4.1 効果検証の目的と供試体の要因 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68 4.1.1 供試体の作製手順および養生 4.2 試験方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73 4.3 塩化物含有モルタルおよび補修用モルタルと全塩化物量との関係 ・・・・・・・・ 74 4.3.1 供試体Aタイプで補修用モルタルに早強ポルトランドセメントを使用したケース 4.3.2 供試体Bタイプで補修用モルタルに早強ポルトランドセメントとポリマーセメントモルタルを使用したケース 4.4 EPMAよる塩化物の分布状況の可視化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86 4.4.1 概要 4.4.2 供試体の作製,分析用試料の作製,分析機器 4.4.3 供試体B5A1,B5A2でのケース 4.4.4 供試体B5B1,B5B2でのケース 4.4.5 供試体BOA1,BOA2でのケース 4.4.6 供試体BOB1,BOB2でのケース 4.5 本章のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 98 【本章の参考文献】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 99 第5章 イオン交換樹脂混入モルタル中の塩化物の拡散現象を示す解析的検討 5.1 使用するモデルと解析条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 101 5.1.1 陰イオン交換樹脂が混入されたモルタルにおける見掛けの拡散係数 5.1.2 解析の概要とモデルの定義 5.2 固定化係数と塩化物イオンの拡散係数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 108 5.3 数値解析シミュレーション結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 108 5.4 本章のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 115 【本章の参考文献】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 116 第6章 イオン交換樹脂の混入が鋼材の腐食環境に与える影響―鋼材の腐食度診断― 6.1 診断の目的・概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 117 6.2 使用機器と腐食環境条件,診断結果の評価・判断基準 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 118 6.2.1 使用機器 6.2.2 腐食環境条件および測定値の評価・判断基準 6.2.3 コンクリート抵抗(比抵抗)値への陰イオンの極限モル伝導率の影響 6.3 配合および供試体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 122 6.3.1 配合 6.3.2 ミクロセル腐食への抵抗性の検証のための供試体 6.3.3 マクロセル腐食への抵抗性の検証のための供試体 6.4 ミクロセル腐食に対する腐食度診断の結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 125 6.4.1 診断状況 6.4.2 自然電位 6.4.3 分極抵抗および腐食電流密度 6.4.4 コンクリート抵抗(比抵抗) 6.5 マクロセル腐食に対する腐食度診断の結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 138 6.5.1 診断状況 6.5.2 自然電位 6.5.3 分極抵抗および腐食電流密度 6.5.4 コンクリート抵抗(比抵抗) 6.6 本章のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 151 【本章の参考文献】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 152 第7章 断面修復材料としての実用化(施工)に要する基本的な性能照査および試験施工 7.1 断面修復材料としての性能照査項目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 155 7.1.1 断面修復工と性能照査項目 7.1.2 配合 7.2 性能照査試験結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 156 7.3 イオン交換樹脂の混入量と性能照査試験結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 157 7.4 試験施工の対象構造物と試験施工条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 158 7.4.1 試験施工対象構造物 7.4.2 試験施工条件 7.5 試験施工状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 160 7.6 本章のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 163 【本章の参考文献】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 163 第8章 結論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 165 別添関係資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 169 謝辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 188, 主指導教員 : 睦好宏史, text, application/pdf}, school = {埼玉大学}, title = {イオン交換樹脂を混和したモルタルの塩化物イオン拡散特性に関する研究}, year = {2013}, yomi = {サナダ, オサム} }