@phdthesis{oai:sucra.repo.nii.ac.jp:00010318, author = {高宮, 健吾}, month = {}, note = {91p, 量子情報技術分野において重要な役割を担う単一光子発生源への応用のために単一量子ドット,GaP中の等電子トラップやダイヤモンド中のNV中心などに対して様々な研究が行われている。GaAs中の窒素原子対による等電子トラップからの発光は、発光線幅が狭いことや、窒素原子対の配列に対応した発光エネルギー値が再現性良く得られることなどから単一光子源への応用が大いに期待されている。しかし、窒素δドープGaAs中の単一等電子トラップによる発光は発光強度が弱いことや、発光ピークが二つに分裂しそれぞれが直交する直線偏光であることなど、単一光子源に不向きな特性も報告されている。そこで本論文では単一光子発生源の実現に向けてGaAs中の窒素原子対による単一等電子トラップからの非古典光(単一光子や量子もつれ光子対)の特性の改善を目的として、窒素δドープGaAs(001)試料、窒素δドープGaAs(110)試料や窒素δドープGaAs/AlGaAs試料中の単一等電子トラップからの発光特性評価を行った。  窒素δドープGaAs、窒素δドープGaAs/AlGaAsヘテロ構造は有機金属気相エピタキシー法を用いて作製した。δドーピングは、Ga源の供給を5秒間止めて成長中断を行っている間にN原子を供給し作製を行った。単一等電子トラップによる発光を観測する為に顕微フォトルミネッセンス測定、発光特性評価を行うために顕微フォトルミネッセンス励起分光測定、時間分解フォトルミネッセンス測定を行った。  窒素δドープGaAs(001)中の単一等電子トラップによる発光の励起強度依存性から発光再結合確率を求めた。等電子トラップの種類によって発光再結合確率1/τが異なることがわかった。GaAs中の等電子トラップによる発光では高エネルギー側の発光ほど発光再結合確率が高い傾向にあることがわかった。  窒素δドープGaAs/AlGaAs中の単一等電子トラップからの発光特性評価を行ったところ、発光ピークが単峰でランダム偏光の発光を得ることができた。また、窒素δドープGaAs中の単一等電子トラップによる発光と比べると等電子トラップへのキャリアの供給効率が約8倍程度向上した。これらの特性はAlGaAs層を用いることにより、窒素混入によって生じる面内歪の異方性を解消し、さらにバンドギャップの大きいAlGaAs層が障壁層となってキャリアの閉じ込め効果が生じることで供給効率を上げることに成功したために得られたと考えられる。  窒素δドープGaAs(110)から同時に観測される二つの発光(X発光、XX発光)に対して励起強度依存性を測定したところ、励起強度の増加に対してX発光は線形に、XX発光は二乗の関係で発光強度が増加した。また二次元マッピングを測定したところX、XX発光それぞれ同じ場所からの局所的な発光で、発光中心が同じであることを確認した。これらの結果からX発光が励起子、XX発光が励起子分子による発光であることがわかった。本論文で初めてGaAs中の単一等電子トラップから励起子分子発光の観測に成功した。さらに、励起子、励起子分子発光に対して偏光特性を調べた結果、量子暗号通信に用いるのに適したランダム偏光であることが観測された。  GaAs中の単一等電子トラップからの発光に対してフォトルミネッセンス励起(PLE)分光測定を行った。励起子分子発光に対するPLEスペクトルではGaAs自由励起子より4meV程度高エネルギー側に2つの鋭い吸収ピークがあることがわかった。また、励起子発光に対するPLEスペクトルでは励起子分子発光で観測された2つの鋭い吸収ピークと同じ位置ではPLEスペクトルが下に凸になることがわかった。これは励起子分子発光が共鳴吸収により増大することでキャリアが励起子分子発光に選択的に寄与してしまい励起子発光が下がったためと考えられる。  窒素δドープGaAs(110)中の単一等電子トラップによる発光の時間分解測定を行った。Z2とラベルされた等電子トラップの発光減衰時間はτ(X)=11 ns、τ(XX)=5 nsであった。2τ(XX)≒τ(X)の関係であったことからこれらの発光が励起子、励起子分子発光であることが確かめられた。励起子分子発光の減衰時間は励起強度を上げると速い減衰時間成分が現れた。これは励起子分子発光がある程度強くなることで誘導放出効果が現れ減衰時間が速まったためと考えられる。また等電子トラップの種類によって減衰時間τが異なることを確認した。  以上のように本研究によって、GaAs中の窒素原子対による単一等電子トラップから励起子分子発光を確認し、量子情報技術の分野で用いる単一光子源応用に向けて重要な知見が得られた。, 【 要旨 】 3 第1章 序論 1.1 量子暗号通信 5 1.1.1 BB84プロトコル 5 1.1.2 BBM92プロトコル 7 1.2 量子もつれ光子対 8 1.2.1 パラメトリック下方変換 8 1.2.2 励起子分子カスケード遷移 9 1.3 強度相関関数測定 10 1.4 様々な単一光子源 12 1.4.1 単一量子ドット 12 1.4.2 GaP中の単一等電子トラップ 13 1.4.3 ダイヤモンド中の単一NV中心 15 1.5 GaAs中の窒素原子対による等電子トラップ 16 1.5.1 GaAs中の単一等電子トラップ 19 1.6 本研究の目的 21 1.7 本論文の構成 22 第2章 実験 2.1 フォトルミネッセンス測定の原理 24 2.2 顕微フォトルミネッセンス測定 26 2.3 有機金属気相エピタキシー法 29 第3章 GaAs中の単一等電子トラップによる励起強度依存性 3.1 序 33 3.2 単一等電子トラップによる発光の励起強度依存性 34 3.3 窒素原子対の種類依存性 37 3.4 まとめ 40 第4章 窒素δドープGaAs/AlGaAs中の単一等電子トラップによる発光 4.1 序 41 4.2 窒素δドープGaAs/AlGaAs中の単一等電子トラップ 42 4.3 まとめ 45 第5章 GaAs(110)中の単一等電子トラップによる発光特性 5.1 序 46 5.2 単一等電子トラップZ2による発光の偏光特性 46 5.3 様々な等電子トラップによる偏光特性 52 5.4 まとめ 54 第6章 GaAs中の単一等電子トラップによる励起子分子発光 6.1 序 55 6.2 PLスペクトルとマッピング 56 6.3 励起強度依存性 59 6.4 偏光角度依存性 61 6.5 窒素原子対の種類依存性 64 6.6 まとめ 68 第7章 単一等電子トラップによる発光のPLE分光測定 7.1 序 69 7.2 単一等電子トラップによる発光のPLE分光測定 74 7.3 窒素原子対の種類依存性 77 7.4 まとめ 78 第8章 GaAs中の単一等電子トラップによる発光の時間分解PL測定 8.1 序 79 8.2 励起子-励起子分子発光の時間分解PL測定 81 8.3 励起子分子発光の励起強度依存性 82 8.4 窒素原子対の種類依存性 83 8.5 まとめ 85 第9章 結論 86 【 参考文献 】 87 【 謝辞 】 89 【 研究業績 】 90, 主指導教員 : 矢口裕之教授, text, application/pdf}, school = {埼玉大学}, title = {GaAs中の窒素原子対による単一等電子トラップからの非古典光発生に関する研究}, year = {2014}, yomi = {タカミヤ, ケンゴ} }