@phdthesis{oai:sucra.repo.nii.ac.jp:00010435, author = {高橋, 陽一}, month = {}, note = {65p, ダム建設に関わる下流河川の環境への影響とその対策に関する研究として、ダム建設に伴い流域に生息するオオサンショウウオの保全対策として実施するオオサンショウウオ道の適切な形状について研究した「ダム建設に伴うオオサンショウウオの保全対策に関する研究」とダム完成前後の下流河川の物理的な変化、底生生物および付着藻類がどのように変化するかについて試験湛水中の湛水規模との関係などから研究した「ダム完成前後の下流河川の環境変化に関する研究」を行った。 ○ ダム建設に伴うオオサンショウウオの保全対策に関する研究 川上ダムの建設を予定している前深瀬川とその支川である川上川には、河川横断工作物(井堰)が多数設置されており、当該河川に広く分布するオオサンショウウオにとって、これらは遡上の難易度はそれぞれ異なるが、移動障害となっている。 川上ダムでは、ダム建設予定地付近のオオサンショウウオ個体群を保全する対策の一つとして、個体群の分断を解消するとともに個体の生息環境を拡大するため、出水等により川上ダム貯水池へ降下した個体の遡上や、湛水予定区域上流の河川域における上下流への個体の移動性の確保のため、河川横断工作物への移動路(オオサンショウウオ道)の設置を計画している。 今回、効果的な移動路の構造を検討するため、オオサンショウウオ保護池において実施した遡上試験について考察し、最も適した移動路の形状について研究した。 その結果、オオサンショウウオが良く遡上するオオサンショウウオ道の形状としては、側壁を設けたものが側壁を設けないものに対して統計的に優位な差があることと、統計的に優位な差はないもののオオサンショウウオ道に流水が有る場合のほうが無い場合よりもより遡上することが判明した。 ○ ダム完成前後の下流河川の環境変化に関する研究 日本におけるダムの建設は、堤体、放流設備、その他の施設が完成し、その後、試験湛水を行い、全ての施設および貯水池周辺の斜面などの安全性を確認したうえで完了する。試験湛水は、通常、建設中に転流していた河川水を上流で締め切り、貯水池に導くことから始まり、ダムおよび貯水池周辺の斜面などの安全性を考慮して決めた水位上昇速度(1m/日が多い)により計画上の満水位まで水位を上昇させ、同様に、安全性を考慮した水位の低下速度(1m/日)で安全性が確認できる水位まで貯水位を低下させて完了する。したがって、試験湛水は、制度上はダムの建設の最終段階であるが、最初の河川流量の人工的な制御であり、下流河道の流量、流下土砂量、土砂質、流下有機物量、流下水温、水質など、物理的に大きな変化がある期間となる。 ダムの上下流間で底生動物群集が変化する現象に関する研究は、欧米先進国を中心に1980年代以降盛んになり、流量の変動による現存量の変化や流下物との関連、ダム放流水温が下流の底生動物の生活史に影響などについて多数報告がなされている。しかし、欧米では試験湛水という制度はなく、初期湛水はもちろん、安全性を考慮して水位上昇などについては制御されることもあるが、あくまでダムの通常の運用の中で実施される。 国内では、すでに完成し長年運用しているダム下流の底生動物群集の評価は行われているが、建設中のダムを対象に試験堪水中で生ずる変化を捉えた事例はなかった。そこで、我々はダムの運用によって生ずる物理化学的環境の変化が底性動物群集に与える影響と変動を解明し、今後のダム本格運用時における下流域の河川生態系の管理に資する知見を得ることを目的として試験湛水開始前から定期的に底生動物種のモニタリングを実施している。既報より、2005年の試験湛水開始以前から2007年8月までの年3回の底生動物出現種を調べた結果、ダム上下流で生息種や密度が異なっていることと、試験湛水開始後によって環境の変化が生じた後に変化が生じることの2つの相違パターンが確認された。 本研究は、試験湛水を開始する前の2005年4月から試験湛水中の2008年3月までの各月のサンプリングデータより優占種を選定しその変動特性について考察した。また、2007年9月には試験湛水中に最大となる出水を経験していることから、人工的な流況の変化と合わせてダム上下流の底生動物群集の変化についても考察した。 今回の結果から、試験湛水開始以前からダム上下流で生息種や密度が異なっていること、試験湛水開始後によって環境の変化が生じた後に変化が生じることの2つの相違パターンが確認された。この区別は運用前の調査が不可欠であり、変化する環境要因との関係を評価する上で重要な点である.また,水温の変化に著しく反応する種とそうでない種があることがわかった。, 論文要旨 第1章 1.研究背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 2.オオサンショウウオ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 2.1 分布と生態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 2.2 ダム建設予定地周辺での生息状況 ・・・・・・・・・・ 8 2.3 保全対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 3.遡上試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 3.1 試験条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 3.2 試験状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 4.試験結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 4.1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 4.2 各試験条件の主効果 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 4.3 試験条件の交互作用 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 5.考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 6.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26 第2章 1. はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 2. 調査概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 2.1 調査地点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 2.2 滝沢ダム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 3. 調査方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 3.1 底生生物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 3.2 ダム上下流の物理環境および水質 ・・・・・・・・・・ 34 4. 調査結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39 4.1 底生動物群集の結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 39 4.2 流下有機物の比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52 4.3 付着藻類の比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55 5. 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59 5.1 ダム下流域の底生動物群集に及ぼす環境影響 ・・・・・ 59 5.2 出水後の底生動物群集の回復の比較 ・・・・・・・・・ 60 6. おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64, 主指導教授 : 浅枝隆, text, application/pdf}, school = {埼玉大学}, title = {ダム建設に関わる下流河川の環境への影響とその対策に関する研究}, year = {2016}, yomi = {タカハシ, ヨウイチ} }