@article{oai:sucra.repo.nii.ac.jp:00017337, author = {河村, 美穂}, issue = {1}, journal = {埼玉大学紀要. 教育学部. 教育科学 / 埼玉大学教育学部 [編], Journal of Saitama University. Faculty of Education. Science of education}, month = {}, note = {調理実習は家庭科教育において、長く取り組まれ、数多くの実践を積み重ねてきている。古くは高等女学校の家事科において西洋料理という新しい文化を学ぶ、ことがステータスであるといわれた時代から、調理は学校教育の中で学習されてきた。現在でも、調理実習は児童生捷のもっとも好 む授業である。これまで調理実習に関しては数多くの実践的な研究が行われおり、グループ内でのコミュニケーションの状況や、学びの様態が徐々に解明されてきている。近年は感想文分析などから自己効力感役立ち感を醸成する学習機会として、調理実習が大きな注目を集めるようになっている。 しかし、小・中学校における時間数の削減、中学校技術・家庭科における選択領域の設定による実質的な学習内容の削減など家庭科教育を取りまく状況は厳しく、諜理実習の実施に際して、様々な課題がある5)。そこで、本論では調理を学ぶということの意味についてあらためて考えてみたい。 調理は、本来家底の中で親から子へ伝授するものであった。しかし、学校教青で調理を学ぶということは、家庭での伝授とは違った意義があると考えたほうが妥当である。先行研究でも調理を学ぶ意味についていくつかの論考が成されている。 武藤は、調理学習という概念を用いて調理実習だけではなく、調理に関わる食品のなども含めて調理を学ぶことを広く定義している6)。その意義は①生活力の育成② 科学的認識力の育成③人間形成④社会性の育成⑤経営的能力の育成⑥生活文化の育成の6点、に集約される。この中で、学校教育で調理学習をすることの意義は②③④⑤であるとしているが、家庭で育成できるとする①⑥もすでに学校教育で教えるべき内容へと移行しつあると考えてよいだろう。 一方、鶴田は食生活に関わる学習のカリキュラムを構想する中でそのコアに調理実習を位置づけている。また、足立は子どもたちの食生態の研究を進めるなかで8)、作って食べる体験を重視し、調理の重要性を提案している。いずれも、作ることや食べるという体験を通して、食品に手を加えることによる変化への理解を深めるという点を重視している。また自ら食べるものと関わることが、様々な物事と自分との関わりを考えさせることにつながるという点を重視していると考えられる。 ここで、本論では調理を学ぶ、ということを「調理実習を通して学ぶ」ということに限定し考察をすすめる。その際、考察の視点として「調理方法と調理題材の関連」を設定する。ここで、あえて調理方法と題材(食品)との関連を考えるのは、学習目標を二つに区別して考えるということではなく、学習目標をより明確にして題材を選定するということが調理を学ぶ上で重要であると考えるからである。 食生活に関する学習は、調理実習を通して理解、習得すると言われるが、「『この料理はこのように作る』という知識・技能の伝授で終わってしまう時、学習内容と学習方法が混同している」という指摘がある。たしかに、実際の調理実習においては、教師は調理方法の習得を考えながら題材を選定することが多く、この二つは分かちがたいものである。たとえば、現在ほとんどの高校の教科書に掲載されている「だしのとり方」について考えた場合、調理操作の科学的な意味を理解すること、鰹節やにぽしの食品としての調理性を理解することは、同時に学習される。 しかも理解すべき内容は相当数にのぼる。このようにこれまでの家庭科教育では学ぶべき調理方法は、HOW TOも含めて多岐にわたりすぎている。調理の基礎基本を知らなければ応用はできないという考え方からである。しかし、限られた調理実習の時間で、学習者のその後の生活にも応用可能な学習内容を精選していくことを考えた場合には、調理方法と調理の題材を十分に吟味していく方向性が必要となろう。 すなわち、それぞれの調理方法の学ぶべき内容を明らかにし、そのためにどのような題材を選定するかを吟味することが必要になる。これが知識・技能の伝授に終わることなく「調理方法と題材の関連を考える」ということである。そこで、次項では調理方法として蒸し謂理を取り上げ、学ぶ意味を考察する。 The author studied about the meaning of learning to cook in home economics education. This study focused especially on the relationship between cooking method (steam cooking) and food materials. Steam cooking is an easy heating ethod by using steam at 100°C.Students learned about steam cooking in home economics education just after World War II to cook rice and sweet potatoes. After that, only girls learned how to make custard pudding and 'chawan-mushi'. However, students don't learn about steam cooking now and find it difficult. Students have to learn the principles of steam cooking and hovv to use the steaming pans. Therefore, the meaning of learning to cook is understanding about the principles of cooking science in daily life. In cooking classes, it is so important to choose food materials relevant to the cooking method. The author proposed a cooking class using steamed breads. Practical cooking classes should teach us to pay attention to not just the cooking but also the eating., text, application/pdf}, pages = {31--45}, title = {調理を学ぶことの意味についての一考察-蒸し調理を事例として-}, volume = {55}, year = {2006} }