@phdthesis{oai:sucra.repo.nii.ac.jp:00018691, author = {青木, 滉一郎}, month = {}, note = {xii, 170p, 近年,可視化研究の適用領域は拡大し,自然現象やコンピュータ上で処理される情報にとどまらず,人々の行動や感情,関係性も,定量的かつ視覚的に表現するような試みがなされている.このような傾向は,人間を中心としたデータの測定および解析,可視化技術の発展に基づくものである.同時に,多様化が進む現代社会においては,個人や集団が直面する心理社会的な問題も様々であり,個々人の価値観やニーズ,心理的特性などを把握した上で,適切な対処へつなげる必要がある.すなわち,可視化技術の心理領域への応用に対して,社会的な要請が高まってきているといえよう. 心理学や社会科学の領域では,対象者の内面を明らかにするために,語りや記述といった言語,テキストを分析する質的なアプローチがなされてきた.このような研究アプローチの利点は,具体的な個人の内面を個別に,より詳細に把握できる点にある.その半面,質的研究におけるデータの分析と解釈には多くの時間を要するとともに,妥当性・信頼性の高い分析結果を得るためには,高度な専門性が求められる.そのため,研究実施にあたり分析者の負担が大きくなることや,データの分析および解釈内容について,専門外の人と理解を共有することが困難になることが,課題として挙げられる. これに対し,近年,言語データないしはテキストデータの定量的・客観的な分析手法として,テキストマイニングの技術が急速な発展を遂げてきた.テキストマイニングでは,発話や文書に含まれる様々な語句の頻度に注目し,これらを発話や文書の特徴を定量データとして,多次元ベクトルの形式で表現することが多い.言語データを通じて,対象者の心理状態を分析,可視化する際にも,発話における語句の出現頻度を基にしたベクトルデータが,分析の単位となることが想定される.このとき,多次元ベクトルの形式をとるデータの特徴や,データ間の関連性を二次元,あるいは三次元空間上で表現することが,可視化を行う上での課題となる. そこで,本研究では,言語データに基づいて個人・集団の心理状態とその変化を可視化するために,自己組織化マップ(SOM)とファジィクラスタ分析を組み合わせて用いる可視化手法を提案した.SOM は,多次元空間上のデータを,個々のデータ間の位置関係を維持しながら,低次元空間へ非線形的にマッピングする解析手法である.これにより,対象者の心理状態を反映し,多次元ベクトルの形式で表される言語データを二次元空間上にマッピングし,その特徴や時間変化を表現することが可能となる.さらに,SOM により得られたマッピングの結果に対して,ファジィクラスタ分析を適用することで,マップ上の領域についてのクラスタリングを試みる.これにより,マ ップ上の各領域の性質が明らかになるとともに,縦,横といった空間軸に,心理状態の評価軸を設定できると考えた.以上の提案手法により,言語データが示す心理の多様な特質を,心理学的なトポロジーの観点から,二次元平面上で可視化することが本研究の目的である. 本研究では,以下の2段階の処理を通じて,研究目的へアプローチするための手法を提案した.第一に,SOM とファジィクラスタ分析という非線形解析の手法を組み合わせ,多次元の言語データを二次元空間上にマッピングした.また,個々のデータの座標から,言語の語り手の心理を理解するため,二次元空間上に心理状態の評価軸(心理的評価軸)を設定した.非線形解析により得られた心理的評価軸は,従来の線形解析では見出されなかった,言語データ間の心理学的なトポロジーを表現するものである.このような評価軸上で,個々人の心理状態とその変化を可視化する手法を提案した.第二に,個々人が示す評価軸上の遷移,すなわち心理変化の特徴をベクトルデータとして表現し,ファジィクラスタ分析によるクラスタリングを実施した.これにより,対象集団に共通してみられる心理変化のパターンを分類し,可視化することが可能となった. 本研究では,オリンピック・パラリンピック選手を含む,各競技のトップアスリートに対するインタビュー記事を Web 上から収集し,インタビュー中の選手の発話を言語データとして分析に用いた.心・技・体の各要素がパフォーマンスに影響を及ぼすスポーツにおいては,アスリートの心理面に焦点を当て,コンディショニングやトレーニングを行っていくことが重要である.提案手法では,言語データを分析の対象とすることで,質問紙による調査と比較しても,アスリートの内面をより詳細に理解することができる.さらに,分析結果を心理学的なトポロジーに基づいて効果的に可視化することにより,専門知識の有無に関わらず,アセスメントの結果をアスリート本人,ないしは監督,コーチといった関係者との間で共有することがより容易に実現できると推察される. 上記の提案手法を用いた処理により,アスリートの発話に基づく言語データは,二次元空間上へマッピングされ,特徴的な布置を示した.すなわち,マッピングの結果から,二次元空間上に心理的評価軸を見出すことができ,個人の心理状態とその変化が,直観的な方法で可視化された.得られた可視化結果は,対象者の心理状態の多様な側面を示すとともに,その変遷を動的に表現するものであった.さらに,マップ上での座標遷移に基づくクラスタリングにより,集団レベルでの心理変化のパターンを抽出し,その特徴をとらえることが可能となった. 今後の課題は,対象者の幅を広げ,言語データから抽出される心理的評価軸や,心理変化のパターンについて,集団間で比較を行っていくことである.多様な言語データ,ならびに分析結果の蓄積を通じて,より普遍的な評価軸や,心理変化のパターンを抽出することが必要である., 要旨……………i 目次……………iv 図目次……………viii 表目次……………xii 第1章. 緒論……………1 1.1. 緒言……………1 1.2. 研究の背景……………1 1.2.1. 可視化研究の領域……………1 1.2.2. 言語データの量的分析……………2 1.2.3. 言語データの質的分析……………4 1.2.4. 言語データの分析における課題……………5 1.3. 研究の目的……………6 1.4. 論文の構成……………8 1.5 .結言……………9 第2章. 分析の基礎事項……………10 2.1. 緒言……………10 2.2. 情報可視化……………10 2.2.1. 一般的可視化研究について……………10 2.2.2. テキストデータの可視化……………11 2.2.3. 心理状態の可視化……………14 2.3. テキストマイニング……………18 2.3.1. テキストマイニングとは……………18 2.3.2. テキストマイニングの解析手法……………18 2.3.3. テキストマイニングの研究事例……………20 2.4. 心理データの収集……………23 2.4.1. 量的調査と質的調査……………23 2.4.2. 心理的アセスメント……………23 2.5. 感情の定義とその関連理論……………26 2.5.1. 感情の定義……………26 2.5.1. 感情に関する理論……………28 2.6. 本研究における解析手法……………32 2.6.1. 自己組織化マップ……………32 2.6.2. ファジィクラスタ分析……………34 2.7. 結言……………39 第3章. 解析の基盤:心理学的トポロジー……………40 3.1. 緒言……………40 3.2. 処理の概要……………40 3.3. 言語データの収集……………41 3.4. 言語データからのModal wordの選定……………45 3.5. TF-IDF値およびTF-DF値の計算……………49 3.6. 自己組織化マップの作成……………51 1) 代表ベクトルの初期値の設定……………53 2) 入力ベクトルの分類……………53 3) 代表ベクトルの更新……………54 3.7. ファジィクラスタ分析(ニューロンのクラスタリング)……………55 3.8. トポロジー的評価……………56 3.9. 結果および考察……………62 3.9.1. Modal word Miの選定結果……………62 3.9.2. ファジィクラスタ分析によるニューロンのクラスタリング結果……………64 3.9.3. 各クラスタの特徴に関する考察……………70 3.9.4. 心理的評価軸の抽出……………78 3.9.5. アスリートの心理状態および変化の可視化……………83 3.9.6. 位相空間上での座標遷移の可視化……………92 3.10. 結言……………94 第4章. 解析:心理変化のパターン抽出・可視化……………96 4.1. 緒言……………96 4.1.1. 処理対象データ……………96 4.1.2. 心理変化の解析手法……………96 4.2. 遷移ベクトルの定義……………97 4.3. ファジィクラスタ分析(アスリートのクラスタリング)……………101 4.3.1. 可達行列による解析……………101 4.3.2. クラスタリングの結果……………110 4.3.3. クラスタの特徴……………114 4.4. 心理変化パターンの可視化……………125 4.4.1. TF-IDF空間上の遷移を示すTF-IDFベクトルGcに基づく可視化……………126 4.4.2. TF-IDF空間上の遷移を示すTF-DFベクトルG'cに基づく可視化……………130 4.4.3. TF-IDF空間上の遷移を示すTF-IDFベクトルIcに基づく可視化……………132 4.4.4. TF-IDF空間上の遷移を示すTF-DFベクトルI'cに基づく可視化……………137 4.5. 結言……………140 第5章. 結論……………141 5.1. 緒言……………141 5.2. 総合結論…………141… 5.3. 今後の研究への提言……………145 5.4. 結言……………146 謝辞……………147 参考文献……………148 本研究に関する講演論文および講演発表……………153 本研究に関する原著論文……………154 付録A. 対話的な可視化システム……………154 A.1. 緒論……………154 A.2. アプリケーションの概要……………154 A.3. アプリケーションの入力データ……………155 A.4. アプリケーションの実行画面……………157 A.5. 結論……………168, 主指導教員 : 平原裕行, text, application/pdf}, school = {埼玉大学}, title = {心理学的トポロジーに基づく心理状態の可視化}, year = {2018}, yomi = {アオキ, コウイチロウ} }