{"created":"2023-05-15T15:29:13.479832+00:00","id":18837,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"6fbad4ff-871a-4891-af8f-fedd3ae86d21"},"_deposit":{"created_by":15,"id":"18837","owners":[15],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"18837"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:sucra.repo.nii.ac.jp:00018837","sets":["92:671:672:682:947"]},"author_link":["29813"],"item_113_biblio_info_9":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2019","bibliographicIssueDateType":"Issued"}}]},"item_113_date_35":{"attribute_name":"作成日","attribute_value_mlt":[{"subitem_date_issued_datetime":"2020-01-29","subitem_date_issued_type":"Created"}]},"item_113_date_granted_20":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2019-03-20"}]},"item_113_degree_grantor_22":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"埼玉大学"}],"subitem_degreegrantor_identifier":[{"subitem_degreegrantor_identifier_name":"12401","subitem_degreegrantor_identifier_scheme":"kakenhi"}]}]},"item_113_degree_name_21":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(経済学)"}]},"item_113_description_13":{"attribute_name":"形態","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"113p","subitem_description_type":"Other"}]},"item_113_description_23":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":" 日本は、第二次世界大戦後、急速な復興と成長を果たし、先進国の仲間入りを果たしたが、それには、テレビや冷蔵庫等の良質な家電製品を安価に大量に国民に提供した現在のパナソニックやソニーといった製造業が果たした役割が極めて大きかった。しかしながら、高度経済成長以降、特に1990年ごろから、いわゆる失われた10 年あるいは20 年ともいわれるように、製造業が不振に陥り、日本経済も低迷し、再浮上し切れずにいる。\n 一方で、米国では、Apple、Google 等に代表される革新的企業がイノベーションをもたらし、世界を席巻するに至っている。さらに、中国や台湾の新興企業も安価な労働力を背景に競争力を付けてきている。このような企業に対抗していくためにも、日本の製造業においてもイノベーションに繋がるような革新的な技術の創造、それに基づく製品、サービスの提供が必要不可欠である。\n ここで、日本における新しい技術である特許の出願件数を確認すると、近年、減少傾向ではあるものの、未だに年間約30万件強となっており、他国に比べその値は高くなっている。一方で、登録されている特許について、その約半数が未活用となっており、収益に結び付いていないとの指摘が存在する。したがって、このような未活用となる特許を削減し、効率的に活用される特許を取得することが企業経営において重要であり、そのためには未活用となる特許の要因を分析する必要がある。\n そこで、本研究では、未活用となる特許の要因の分析において、研究開発、特許取得、特許活用という企業行動に加え、経営学においてよく知られた内部資源や外部環境という概念に基づいた分析枠組みを提案し、その分析枠組みに基づいた分析を行った。分析においては、分析枠組みの各項目において代理変数を設定するとともに、日本経済の再浮上の鍵を握る大企業であって特許出願件数も上位であり、実際に活用と未活用の別が把握できるデータが取得できるパナソニックを対象とし、その1000 件のデータを取得し、ロジスティック回帰分析を用いた分析を行った。その結果と考察は概略、以下のとおりである。\n (1)内部資源に関しては、特に、技術分野が適合していない、社内代理人を活用できていない特許ほど未活用となることが示された。このことは、パナソニックの知財センター所長の証言等にもあるように、特許出願や取得件数に関するノルマ、目標の存在、あるいは、使用目的や実装形態等に応じた既存技術の組み合わせや小改良が多いという電気情報通信技術の特性、活用を意識しない報償制度の内容とも整合的であると考えられる。即ち、同社において、ノルマや目標の削減、縮小、活用できた場合のインセンティブの強化、場合によっては活用できなかった場合の何らかのペナルティを与える、研究開発部門と他部門との橋渡しとなる、事業目的や各種ニーズ、技術特性等にも精通した社内代理人等の人材が積極的に発明の評価、出願等の各タイミングで関与するような仕組みを構築、さらには、リスク回避的行動の必要性を見極め、過剰なリスク回避的行動を減らすことができれば、真に内部資源を意識した、活用につながる特許取得が推進されるものと考えられる。\n (2)研究開発段階においては基本性の高くない特許が未活用となることが示唆された。同社の研究開発投資や人材採用等の状況に鑑みると、同社において基本性の高い特許を取得するためには、基礎的研究開発のための研究開発投資を増やす、基礎的研究開発を担い得る人材を採用、育成する、あるいは、革新的なベンチャー企業や大学と連携し、オープンイノベーションを促進させる、M&Aによる有望な技術を持つ企業を買収する等が有益と考えられる。なお、同社の先進的な取り組みである、イノベーションを産み出すための共通モデル、手法、文化の確立を併せて進めていくことも重要と考えられる。\n (3)特許取得段階においては、代理変数によって結果がばらついたが、特に分割出願制度がノルマや目標の存在、G,H セクションの技術分野の特性と相まって、未活用となる特許取得につながっていると考えられる。したがって、特許取得段階においては、ノルマや目標の削減、インセンティブ制度の強化、あるいは、社内代理人等を活用し、擦り合わせという意識を持ち、請求項に係る発明を記載する、リスク回避的行動の必要性を見極め、過剰なリスク回避的行動を減らす等が同社において有効と考えられる。\n (4)特許活用段階においては、プレイヤー数が多い場合に特許が未活用となることが示唆された。このことは、同社が、競争が激しいためにライセンスによって収益をあげるよりもむしろ、他社に使わせないことで自社の事業実施リスクを低減させる行動を取っていることを意味している可能性が考えられ、リスクを嫌う大企業的な体質、即ち、リスク回避的行動を反映しているとも考えられる。したがって、特許活用段階においては、リスク回避的行動の必要性を見極め、過剰なリスク回避的行動を減らし、他分野企業も含めてライセンスを検討することが同社において有効と考えられる。\n (5)外部環境における代理変数は特段の有意性を示さなかった。このことは、ノルマ、目標等によって自社の方針に依存した特許出願行動が取られていることを意味しているとも考えられ、同社において他社との関係を考慮した特許出願戦略が欠如していることを表している可能性がある。したがって、外部環境に関しては、特にノルマや目標を削減することが未活用特許削減に有効に作用する可能性がある。\n 以上の結果を総合すると、特許が未活用となることに関して、パナソニック株式会社においては、特に、特許出願や取得に関するノルマや目標の存在、活用が強く意識されていないインセンティブ制度の存在、取り扱う技術分野が電気情報通信技術であること、基礎研究及びそれを担う人材を含む研究開発投資の低迷や技術力の高いベンチャー企業等との連携不足、リスク回避的行動の存在が大きな要因であると考察された。\n 上記考察は、分析に用いたデータがパナソニック全体のデータを概ね反映していることから、パナソニック全体についても妥当すると推察され、加えて、目標やノルマの存在等の上記各要因が電気情報通信業界の主要企業の8社についても確認されることから、主要8社についても同様に概ね妥当すると考えられる。その結果、これらの企業において未活用特許を削減し、活用特許を効率的に取得するためには上記した取り組み、行動、特に、ノルマ制度を廃止又は縮小する、特許が活用された場合のインセンティブを高めるインセンティブ制度を設計する、基礎研究を中心に研究開発投資を増やす、あるいは、技術力の高いベンチャー企業等との提携やそのような企業のM&Aを増やすこと、このような行動においてリスクをある程度取るという姿勢を持つことが有効と考えられる。取り扱う技術分野に関しては、すぐに大きく変更することは困難であるが、他社との連携等を通じて技術分野をシフトしていくことも将来的に有益となる可能性が高い。加えて、イノベーションを産み出すための手法、文化等を確立するための模索も始まっており、このような観点の取り組みも今後ますます必要となると考えられる。なお、上記したような取り組み、行動は、同時並行的に実施することにより、相乗的に高い効果が発揮されるものと考えられる。\n このような取り組み、行動により、各企業が生まれ変わることができれば、活用できる特許に繋がる研究開発等を通じてさらなるイノベーションが成し遂げられ、各企業、延いては、日本経済の再浮上が期待できよう。\n 本研究の内容をさらに発展させるためには様々なアプローチが考えられる。例えば、分析枠組みにおいて設定した代理変数を見直すことが一つとして考えられる。特に、本研究において、div_app 等の期待される方向と逆の方向に有意性を示した変数、及び、hhi 等の正にも負にも有意性を示さなかった変数の見直しが有効と考えられる。また、パナソニックを含め、分析対象とした電気情報通信業界の主要8 社の資料をさらに収集し、考察を深めていくことや分析において利用しているデータの数を増やすことも一案として考えられる。後者に関しては、データベースのデータ蓄積状況に依るが、パナソニックのデータを増やすことに加え、別の会社のデータを取得し、比較分析を行うことも有益であろう。そのような場合は、比較的利益率の高い企業等を対象とすることが考えられる。さらには、活用特許取得に資する制度の在り方といった、企業経営、日本経済に有益な特許制度とするための制度自体を対象とした分析もまた有意義である。\n 今後、経営学や経済学と知的財産の交差する学際分野の研究は、第四次産業革命等の進展に伴い、これから益々必要とされ、発展していく分野であり、様々な新しい研究課題が出てくると想定される。そのような研究課題に対しては、経営学や経済学、知的財産の知識を総合し、それらを有機的に結び付け、活用し、取り組んでいくことが必要不可欠である。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_113_description_24":{"attribute_name":"目次","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"図目次........................................................................ 7\n表目次........................................................................ 8\n数式目次...................................................................... 9\n\n第1章 はじめに .............................................................. 10\n 第1節 背景 ................................................................. 10\n 第2節 未活用特許の問題 ..................................................... 18\n 第3節 先行研究と本研究の目的 ............................................... 22\n第2章 特許制度 .............................................................. 24\n 第1節 特許制度の位置付け ................................................... 24\n 第2節 特許制度の歴史 ....................................................... 25\n 第3節 日本における特許制度の特徴 ........................................... 27\n 第4節 審査 ................................................................. 29\n 1 出願から審査請求まで ................................................... 29\n 2 審査のプロセス ......................................................... 31\n 3 拒絶と補正 ............................................................. 38\n 第5節 審判 ................................................................. 39\n 第6節 各種の特許制度 ....................................................... 42\n第3章 特許権の活用 .......................................................... 47\n 第1節 実施による活用 ....................................................... 47\n 1 iPS 細胞関連特許 ....................................................... 47\n 2 iPhone 関連特許 ........................................................ 48\n 3 Googleの検索技術に関する特許 ........................................... 50\n 4 カーナビゲーションに関する改良特許 ..................................... 51\n 5 切り餅に関する特許 ..................................................... 54\n 第2節 ライセンス(実施権)による活用 ....................................... 55\n 1 ライセンス(実施権)について ........................................... 55\n 2 クロスライセンスとパテントプール ....................................... 56\n第4章 本研究の方法 .......................................................... 59\n 第1節 本研究の分析枠組み ................................................... 59\n 第2節 分析手順 ............................................................. 61\n 1 分析手法 ............................................................... 61\n 2 代理変数 ............................................................... 64\n第5章 分析の対象 ............................................................ 69\n 第1節 分析対象の企業 ....................................................... 69\n 1 パナソニック株式会社の概要 ............................................. 69\n 2 パナソニック株式会社の歴史 ............................................. 71\n 第2節 データの概要 ......................................................... 74\n 1 技術分野別の件数 ....................................................... 74\n 2 代理変数の値の概要 ..................................................... 76\n第6章 結果と考察 ............................................................ 81\n 第1節 分析結果 ............................................................. 81\n 第2節 パナソニック株式会社の制度や行動、特性等に基づく考察 ................. 83\n 1 内部資源 ............................................................... 83\n 2 研究開発段階 ........................................................... 88\n 3 特許取得段階 ........................................................... 92\n 4 特許活用段階 ........................................................... 93\n 5 外部環境 ............................................................... 93\n 6 小括 ................................................................... 94\n 第3節 パナソニック株式会社全体への展開 ..................................... 94\n 第4節 電気情報通信業界大手企業への展開 ..................................... 96\n 1 技術分野の特性に関して ................................................. 97\n 2 研究開発投資の状況に関して ............................................. 100\n 3 ノルマや目標の存在、リスク回避的行動に関して ........................... 101\n 4 報償制度等のインセンティブ制度に関して ................................. 101\n 5 小括 ................................................................... 106\n第7章 おわりに .............................................................. 107\n 第1節 本研究のまとめ ....................................................... 107\n 第2節 今後の展望 ........................................................... 109\n謝辞 ........................................................................ 110\n参考文献一覧 ................................................................ 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