{"created":"2023-05-15T15:29:28.329736+00:00","id":19166,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"1d3c0edb-5ace-464c-8bfc-1fb4f2dc850a"},"_deposit":{"created_by":15,"id":"19166","owners":[15],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"19166"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:sucra.repo.nii.ac.jp:00019166","sets":["92:671:672:682:971"]},"author_link":["30094"],"item_113_biblio_info_9":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2020","bibliographicIssueDateType":"Issued"}}]},"item_113_date_35":{"attribute_name":"作成日","attribute_value_mlt":[{"subitem_date_issued_datetime":"2021-01-12","subitem_date_issued_type":"Created"}]},"item_113_date_granted_20":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2020-03-23"}]},"item_113_degree_grantor_22":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"埼玉大学"}],"subitem_degreegrantor_identifier":[{"subitem_degreegrantor_identifier_name":"12401","subitem_degreegrantor_identifier_scheme":"kakenhi"}]}]},"item_113_degree_name_21":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(経済学)"}]},"item_113_description_13":{"attribute_name":"形態","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"3, 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Modelでは、不正の「発生」に関連する要因と不正の「発覚」に関連する要因を関連付けて分析することで、「未発覚」の不正の存在を補正しつつ不正の発生要因を統計的に分析しようとしている。不正の「発覚」について実証的に研究することにより、実務的には、企業で不正が発生しても、迅速に発覚する体制の構築(内部統制、コーポレートガバナンス等の体制整備)に資することが期待できる。経済学的にも、例えばPartial Observability Model構築のための説明変数選択がより的確に行えるようになるなどの貢献が可能となる。本稿は、Partial Observability Modelが取り上げた不正の「発生」と不正の「発覚」の2つのうち、これまで「発生」と比較して研究対象となることの少なかった「発覚」に着目し、主としてコーポレートガバナンス関連指標のうち、「発覚」が早くなることに関連する要因、「発覚」が遅くなることに関連する要因、それぞれについて定量的に分析・検証したものである。\n本稿は、第1章で、まず分析に際して被説明変数となる不正事案を集めたデータベースを構築し、不正データの特徴を分析した。不正事案を集めるためには、「不正」の定義を明確にすることが必要不可欠である。第1章ではまず、本稿全体で分析対象となる「不正」を、先行研究を参考に定義した。構築された不正データベースをみると、業種により不正発生の多い業種と少ない業種があること、未発覚の不正の影響で、データベース対象期間の中では新しい時期になるほど不正が減少するように見えることなどがわかる。また、「談合・カルテル」、「法令違反」、「事故・システム障害」など、不正の種類により、不正が発覚するまでの潜在期間が異なること、業種により発生する不正の種類と、その構成割合が異なるため、業種により不正が発覚するまでの潜在期間が異なるように見えること等を明らかにした。\n次に本稿は、第2章で、構築した不正データの潜在期間と、不正発生企業のコーポレートガバナンス関連指標、財務指標の関係を、Cox比例ハザードモデルにより分析し、不正の発覚を早めることに関連の深い指標、不正の発覚を遅くすることに関連の深い指標を、それぞれ明らかにした。事前の予想では、いわゆるコーポレートガバナンス改革等の中で日本企業が求められている、社外取締役(特に独立社外取締役)の増員や社外取締役の取締役会議長への就任、監査役会設置会社から指名委員会等設置会社等への機関設計の変更、取締役の報酬決定方法の明確化や取締役の報酬開示、機関投資家の関与の増加等が、いずれも不正の発覚を早めることにも関係があると考えていた。分析の結果、社外取締役(独立社外取締役)の増員、取締役の報酬決定方法の明確化、機関投資家の関与の増加等については、予想通り不正の発覚を早めることと有意に関係することが示された一方で、監査役・監査委員の増員は不正の発覚を遅らせることと有意に関係することが示された。また、事前の予想にはなかったが、取締役報酬を高額化すること、従業員へのストックオプションの付与、売上規模が大きいことなどが、不正の発覚を遅らせることと有意に関係することが明らかになった。以上のことから、近年進められているいわゆるコーポレートガバナンス改革で行われようとしている施策は、総じてみれば、不正の発覚を早める観点からも概して有益であるということができる。もっとも、近年指摘されている取締役報酬の高額化や、従業員へのストックオプション付与のようなインセンティブ供与は、不正の発覚を遅らせる要因となる可能性があり、注意が必要である。また、海外の先行研究の多くでコーポレートガバナンスを担保する役割を担うものとされている監査役・監査委員についても、少なくとも単に取締役会に占める人数比率を高めるだけであれば、不正の発覚を遅らせることに繋がる危険があることも示された。\n国内の不正研究は、個別の事案を取上げたケーススタディが多い。本稿は、不正をデータベースに基づき定量的に捉え、それと共に今まで注目されてこなかった「発覚」に注目した研究である。また、コーポレートガバナンス改革に係る議論では、しばしば「社外取締役の人数に拘っても意味はなく、どのような属性の人を社外取締役に招くかが重要」といった、「質」を重視した議論がなされる。本稿でも、データの得られる範囲では、例えば単なる「社外取締役」よりも「独立社外取締役」の方が、より不正の発覚を早めることとの関係が深いことを示すなど、「質」の重要性は認識している。もっとも、「質」の議論が社外取締役の資質・属性のようなデータの得難い分野に拡大すると議論が定性的となり、意見の相違が不毛な対立を招きやすいことを本稿は問題視する。観測が容易で客観的な、人数や制度の有無といった「外観」だけに着目して分析しても、かなり有益で興味深い情報が得られることを本稿は強調したい。\n企業における不正の発生は続き、そのメカニズムには未だ解明されていない問題も多い。本稿をベースに研究を発展させ、そうしたメカニズムの学術的な解明と、それを踏まえた実務的・政策的に有益な対応策のあり方について研究を進めることが今後の課題と考える。今後の研究の方向性としては、Partial Observability Modelに基づき、不正の「発覚」のしやすさを補正した形で、不正の「発生」と関係の深いコーポレートガバナンス関連指標を探ってみたい。また、第1章で不正の発覚過程が統計的にランダムであることを示したが、この性質を利用して、発覚済みの不正件数等を基に、未発覚の不正が平均何件程度潜在しているかを推計するのも、有益ではないかと考える。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_113_description_24":{"attribute_name":"目次","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"はじめに 1頁\n第1章 不正データベースの構築とその概要 6\n1.企業の不正を取扱った先行研究における「不正」の定義 6\n(1)「概念的な定義」 6\n(2)「キーワードに基づく定義」 7\n2.本稿で採用した「不正」の定義とデータベースの構築 9\n3.不正データベースで観察された2つの特徴 9\n(1)業種別にみた不正の特徴 9\n(2)不正が発生してから発覚するまでの潜在期間の特徴 15\n4.小括 23\n第2章 発生した不正の発覚に係る分析 24\n1.不正データの未発覚事案による歪みと補正の試み 24\n2.先行研究 25\n(1)未発覚の不正、不正の発覚に着目した先行研究 25\n(2)不正の発生とコーポレートガバナンス関連指標に着目した先行研究 27\n3.日本の上場企業のコーポレートガバナンス関連指標の現状 29\n(1)概要 29\n(2)主な説明変数の企業間比較(クロスセクション) 30\n(3)主な説明変数の時系列での変動状況 32\n4.分析モデル、データ構築と分析結果に対する事前の予想 35\n(1)分析モデル 35\n(2)分析に使用したデータと分析モデルの式 36\n(3)分析結果に対する事前の予想 38\n5.分析結果 39\n(1)Cox Regressionsの結果 39\n(2)OLSの結果 45\n(3)Cox RegressionsとOLSの両方に共通していえる特徴 45\n6.小括 46\n第3章 結論 48\n(補論1)不正データベースの構築作業の詳細 58\n(補論2)Partial Observability Model 61\n参考文献 63","subitem_description_type":"Other"}]},"item_113_description_25":{"attribute_name":"注記","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"指導教員 : 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