@phdthesis{oai:sucra.repo.nii.ac.jp:00019803, author = {高山, 和夫}, month = {}, note = {ⅵ, 104p, 本稿の目的は、日本は詳細な産業連関表があるにも関わらず、なぜ供給・使用表へ移行するのか、についてその理由を明らかにすることである。その考察として、第一に産業連関表および供給・使用表に関する現状、定義、第二に欧米の産業連関表および国民経済計算体系(SNA)における供給・使用表に関する歴史的考察、および国際基準におけるヨーロッパの影響、日本との比較、第三に日本の産業連関表作成に関する歴史的経緯、一次統計の変化の影響、供給・使用表への移行条件、等を行った。 第1章では、供給・使用表への移行に関する現状を明らかにした。まず産業連関表の定義づけとして、レオンチェフ型とSNA型の産業連関表が存在することを述べた。その統計単位としてレオンチェフ型は「商品」を、SNA型は「事業所」を、それぞれ選択していることを明らかにした上で、副次的生産物の存在により「単一の生産活動は単一の生産物を産出する」という仮定が成立しにくくなっていることを述べた。また、日本における産業連関表の作成手順を明らかにした上で、特にレオンチェフ型の産業連関表は、多種多様な一次統計や資料を用いて、共同事業として作成していることについて述べた。次に、供給・使用表の概念と定義を整理した上で、供給・使用表への移行の背景について吟味を行った。 第2章で、欧米ではなぜレオンチェフ型ではなく、SNA型の産業連関表であるU表およびV表、更には供給・使用表の導入へと変化したのかについて、日本との比較の意味でその理由を考察した。そのため、SNA型の産業連関表が主流となっているヨーロッパの作成状況を中心に考察を行った。まず歴史的経緯として、レオンチェフ考案の産業連関表に関する米国での発祥を述べ、その有用性から産業連関表はSNAに包摂されることとなったことを述べた。次に、1968SNAにおいてストーンが考案したU表およびV表が、1993SNAの検討過程の中で国民経済計算体系との調和を重視する立場から供給・使用表へと発展していった過程を明らかにした。またヨーロッパでは、日本の「生産動態統計調査」のような一次統計は存在せず、むしろ企業ベースの統計が整備されていった。企業は複数の商品を生産することを前提とするため、1968SNAにおいて副次的生産物の存在を認めたことにより、欧米ではSNA型の産業連関表が中心となっていったものと考えられること、さらに国際的な統計制度設計におけるヨーロッパの影響が強まっていった過程とその理由を明らかにし、国際基準である国民経済計算体系における産業連関表の位置づけの変化を吟味した。 第3章で、日本における産業連関表の歴史的経緯を明らかにした上で、一次統計の変化による影響を分析した。まず日本の産業連関表の歴史的経緯を明らかにすることで、日本では長らくレオンチェフ型の産業連関表を作成してきた理由を考察した。特に、戦時中・戦後におけるわが国における産業連関表の研究、「分散型」とされるわが国の統計行政の体制、戦後の統計行政の変遷について論点を整理した上で、わが国における「昭和26年表」作成経緯を明らかにした。さらに、その後の歴史的経緯として1968SNAおよび1993SNAにおけるわが国の産業連関表における対応を踏まえ、レオンチェフ型の産業連関表における一次統計の変化を分析した。製造業の相対的な比率の低下と、レオンチェフ型の産業連関表推計において製造業における重要な一次統計である「生産動態統計調査」の改正に伴う、産業連関表推計への影響を考察した。考察の結果として、日本は製造業を中心とする経済構造の中で、日本の一次統計が充実していたからこそ、レオンチェフ型の産業連関表作成が可能であったという特殊事情があったこと、その上で製造業中心からサービス業中心とする経済構造へと変化する中で、特に製造業の推計が難しくなってきていることを明らかにした。また日本における産業連関表から供給・使用表への移行に向けた議論の経緯を、主に統計委員会での議論を踏まえ整理を行った。その上で、日本における供給・使用表への移行に向けた条件について、生産物分類と日本標準産業分類に関する課題と検討状況について考察を行った。 考察の結果として、日本はレオンチェフ型の産業連関表を直接作成してきた長い歴史があるが、製造業を中心とする経済構造の中で日本の一次統計が充実していたから作成が可能であったという特殊事情があったからであり、国際的にはむしろ異例であったことを明らかにした。一方で、欧米はそのような一次統計は存在せず、むしろ企業ベースの統計が整備されていったが、企業は複数の商品を生産することを前提とするため、1968SNAにおいて副次的生産物の存在を認めたことにより、欧米ではSNA型であるU表およびV表の産業連関表が中心となった。更にSNAとの調和を重視する立場から、やがて供給・使用表へと変化していった。これを踏まえ、日本も製造業中心からサービス業中心とする経済構造へと変化する中で、産業の多様化・多角化・高度化が一層進むことで、副次的生産物の存在が大幅に増加していった。また、流通の複雑化、統計調査環境の悪化などから、これまでの日本におけるレオンチェフ型の産業連関表の作成方法がより困難になっていった。 従って、日本も欧米諸国同様に、国際連合が推奨する供給・使用表へと移行することとなった、との結論を導いた。, 図表リスト ---------------------------------------------------------------- vi 序論 ---------------------------------------------------------------------- 1 第1章 国民経済計算体系における産業連関統計 ------------------------------ 5 はじめに ........................................................................ 5 第1節 産業連関表と供給・使用表 ................................................ 5 (1)産業連関表の定義とその特徴 ................................................. 5 (2)供給・使用表の定義とその特徴 ............................................... 9 第2節 産業連関表の作成手順の概要 .............................................. 12 (1)レオンチェフ型の産業連関表(取引基本表)の作成手順 ......................... 12 (2)SNA型のU表およびV表の作成手順 ........................................... 13 第3節 供給・使用表への移行の背景 .............................................. 14 まとめ .......................................................................... 18 第2章 欧米における産業連関統計に関する歴史的考察 ------------------------ 19 はじめに ........................................................................ 19 第1節 レオンチェフによる産業連関分析の発祥 ..................................... 19 第2節 1968SNAにおけるU表およびV表導入 ...................................... 22 (1)1968SNAにおけるストーンの改訂草案とU表およびV表 .......................... 22 (2)1968SNAにおける産業連関表の位置づけ ....................................... 25 第3節 1993SNAにおける供給・使用表導入の理由と背景 ............................. 29 (1)1993SNAにおける産業連関表の位置づけ ....................................... 29 (2)1993SNAにおける供給・使用表導入の経緯 ..................................... 32 第4節 供給・使用表導入におけるヨーロッパの影響 ................................ 38 (1)ヨーロッパにおける産業連関表作成状況 ....................................... 38 (2)国際的な統計制度設計におけるヨーロッパの影響 ............................... 42 (3)ヨーロッパにおける統計調査の現状と経緯 ..................................... 44 第5節 2008SNAにおける産業連関統計の位置づけ................................... 46 (1)2008SNAにおける産業連関統計の位置づけ ..................................... 46 (2)2008SNAにおける産業連関統計の変化 ......................................... 47 まとめ .......................................................................... 49 第3章 わが国における産業連関統計に関する歴史的考察 ---------------------- 50 はじめに ........................................................................ 50 第1節 わが国における「昭和26年表」の作成経緯................................. 50 (1)戦時中・戦後におけるわが国の産業連関表の研究 ............................... 50 (2)「昭和26年表」の作成経緯 .................................................. 54 第2節 わが国における1968SNAへの対応 .......................................... 62 (1)わが国への1968SNAの導入 ................................................... 62 (2)産業連関表における1968SNAへの対応 ......................................... 63 第3節 わが国における1993SNAへの対応 .......................................... 64 第4節 産業連関分析におけるニーズ変化と一次統計の変化 .......................... 66 (1)産業連関分析におけるニーズ変化 ............................................. 66 第5節 統計委員会を中心とする供給・使用表をめぐる議論の経緯 .................... 77 第6節 わが国における供給・使用表への移行の条件 ................................ 83 まとめ .......................................................................... 86 結論と今後の示唆 ---------------------------------------------------------- 88 謝辞 ---------------------------------------------------------------------- 91 参考文献 ------------------------------------------------------------------ 93, 指導教員 : 李潔, text, application/pdf}, school = {埼玉大学}, title = {国民経済計算体系における産業連関統計に関する歴史的考察 : わが国への供給・使用表の導入に向けて}, year = {2022}, yomi = {タカヤマ, カズオ} }