@phdthesis{oai:sucra.repo.nii.ac.jp:00019804, author = {萩野, 覚}, month = {}, note = {ⅷ, 138p, 本稿は、経済のグローバル化が進む中で、公的統計、特に SNA を政策ニーズに応えるものにするべく、何を、どこで、誰と、取引したのかを示す現行の SNA を、どのように、なぜの要素を組み入れて拡張することを検討している。具体的には、SNA がグローバリゼーションを捉える方法論について、国境を越えたカネ、モノ、サービス、のほか、ヒト(法人や自然人)の移動に焦点を当てて検討し、グローバリゼージョンの実態が明らかとなるような SNA 体系の拡張や新たな統計整備を示している。 カネのグローバル化については、日韓米中の資金循環勘定の金融資産負債残高表を基に、各国の金融残高連関表を作成し、それらを繋げて国際表化することにより、日韓米中の国際金融残高連関表を作成した。そのうえで、国際金融残高連関表に産業連関分析の手法を適用して影響度・感応度係数を算出すること等を通じ、4カ国の部門間の債権債務の特徴を把握した。さらに、欧州中央銀行は、ユーロエリアについて、金融資産負債項目別の金融連関残高表を作成・公表しており、日本、米国についても、債券の金融残高連関表が作成・公表されている。これらを活用し、金融資産負債項目別の金融残高連関表を作成し、債券、株式について、日米ユーロエリアの国際金融残高連関表を作成した。他方、国際金融取引残高表の作成のためには、今後、日米において、取引フローのデータ収集強化が必要であると指摘した。 モノのグローバル化については、企業特性別貿易統計を作成しその活用方法を示し、付加価値貿易指標の概念と分析を検討した。そのうえで、付加価値貿易指標の改善のために提案されている拡張産業連関表に関し、そこに組み入れるべき企業の異質性を検討した。総じてみれば、加工組立産業では輸出・非輸出による区分が、素材産業では大・中小企業や海外子会社有無による区分が有用との結論が得られ、そうした異質性を組み入れた拡張産業連関表を試作した。さらに、拡張産業連関表および非拡張産業連関表に基づき、付加価値貿易指標の外国付加価値に該当する垂直分業指標を作成し、輸入中間財比率の違いに着目した拡張により、垂直分業をより広く捕捉することになることを確認した。ただ、当該推計をより正確に行うためには、輸入中間財に含まれる国内付加価値を把握する必要があり、そのためには、一国の産業連関表ではなく国際産業連関表を活用することが適当であると指摘した。 サービスのグローバル化については、国際的なサービス供給のモード別分類に関する議論を整理し、定量的な把握を行いつつ、我が国の国際サービス供給の特徴を検討した。すなわち、GATS の枠組みに沿って、我が国の第1~第4モードの国際サービス供給推計を行ったほか、知的財産生産物等使用料について、研究開発に対する対価という観点から第1モードから区別した。さらに、輸出に含まれるサービスに該当する第5モードについても、推計・検討を行った。その結果、国際サービス供給のモード別形態をみると、第3モードのウェイトが極めて大きく、海外子会社統計、日本では、海外事業活動基本調査や外資系企業動向調査の強化が重要であると指摘した。また、情報通信については、詳細かつ正確なデータが求められているが、デジタルが、第1モードに止まらず、あらゆるモードで用いられる可能性があり、モード別態様とは異なった分析的枠組みが必要となることや、サービス貿易の分析を深めるために、企業特性別サービス貿易の整備が必要であることを指摘した。 ヒトのグローバル化については、カネ、モノ、サービスの国境を越えた取引を生じさせる要因として、法人や自然人の国境を越えた移動に焦点を当て、その統計的把握や、 GDP 統計の調整方法について議論した。法人の移動については、多国籍企業の利益シフト等によりアイルランドの GDP が急増したことについて、そうした歪みを解消するための特別目的会社の統合や知的財産生産物のリース化のほか、GDP から GNI への焦点の移行について検討した。そうした新たな方法が有効に機能するには、再投資収益の統計整備が必須であることに加え、直接投資統計について、「どのように」や「なぜ」を明らかにする目的別分類の一層の整備の重要性や、多国籍企業に関する企業別情報の整備の必要性を指摘した。一方、自然人の国境を越えた移動については、これを促進・抑制する要因について、グローバルバリューチェーンの進展との関連も考慮しつつ検討したうえで、マクロ統計上の課題として、労働者送金の整備の重要であることを指摘した。具体的には、デジタリゼーションにより銀行以外の様々な送金チャネルが拡充されていく中で、全体の把握方法について、今後再検討が必要になる可能性を示した。 最後に、今後の課題として、情報や文化のグローバル化や、政府を含む非営利組織のグローバルな活動について統計的に把握することにも取り組んでいく方向性を示した。, 序章 .................................................................................. 1 第1節 本稿の目的と課題 ............................................................... 1 第2節 国民経済計算体系の整理 ......................................................... 4 (1)GDP・ 産業連関表の概要 ........................................................... 4 (2)資金循環勘定の概要 ............................................................... 7 (3)国際収支統計・対外資産負債残高統計の概要 ........................................ 13 (補論)産業連関表を用いた波及効果分析 ................................................. 20 第1章 カネのグローバル化 ............................................................. 23 はじめに ............................................................................. 23 第1節 国際資金循環勘定の整備に係る議論 .............................................. 23 第2節 資金循環勘定の金融残高連関表化 ................................................ 24 第3節 金融残高連関表の国際表化 ...................................................... 28 第4節 日韓米中・国際金融残高連関表の分析 ............................................ 30 第5節 金融資産負債項目別金融連関表の作成 ............................................ 36 第6節 本章のまとめと今後の課題 ...................................................... 44 (補論)中国の金融資産・負債残高表の推計.............................................. 46 第2章 モノのグローバル化 ............................................................ 51 はじめに ............................................................................. 51 第1節 企業特性別貿易統計の整備 ...................................................... 52 (1)企業特性別貿易統計の作成と活用 ................................................. 52 (2)企業特性別貿易統計からみた我が国の国際貿易の特徴 ............................... 53 第2節 付加価値貿易指標と国際産業連関表 .............................................. 57 (1)付加価値貿易指標の概念と分析 ................................................... 57 (2)国際産業連関表の概要 ........................................................... 60 第3節 拡張産業連関表に組み入れるべき企業の異質性 .................................... 62 (1)産業連関表を拡張する必要性 ..................................................... 62 (2)輸出・非輸出企業という異質性の検討 ............................................. 63 (3)企業規模(大・中小企業)という異質性の検討 ..................................... 65 (4)企業の所有形態(本邦・外資企業)という異質性の検討 ............................. 68 (5)海外子会社保有の有無という異質性の検討 ......................................... 68 第4節 拡張産業連関表の作成 .......................................................... 70 第5節 拡張産業連関表に基づく垂直分業指標(外国付加価値)の推計 ...................... 74 第6節 本章のまとめと今後の課題 ...................................................... 78 (補論)OECDにおける国際産業連関表の作成 ............................................. 79 第3章 サービスのグローバル化 ........................................................ 86 はじめに ............................................................................. 86 第1節 GATSの枠組みによる国際サービス供給の第1~第4モード .......................... 87 (1)国際サービス供給の第1~第4モードの概要 ....................................... 87 (2)モード別国際サービス供給の推計方法 ............................................. 88 第2節 海外主要国および日本のモード別国際サービス供給の特徴 .......................... 88 (1)海外主要国のモード別国際サービス供給の特徴 ..................................... 88 (2)日本のモード別国際サービス供給の特徴 ........................................... 90 (3)日本のモード別国際サービス供給推計に係る基礎データの課題 ....................... 91 第3節 IPP等使用料に関する検討 ....................................................... 95 (1)IPP等使用料の分類に係る課題 .................................................... 95 (2)IPP等使用料と研究開発費の関係................................................... 96 第4節 第5モードによる国際サービス供給 .............................................. 98 第5節 国際サービス貿易分類の改定 ................................................... 101 (1)改定動機........ .............................................................. 101 (2)グローバリゼーションへの対応 .................................................. 101 (3)デジタリゼーションへの対応 .................................................... 102 (4)サービスの仲介の検討 .......................................................... 104 第6節 本章のまとめと今後の課題 ..................................................... 105 (補論)マーケティング資産や同使用料の取り扱い ...................................... 107 第4章 ヒトのグローバル化 ........................................................... 111 はじめに ............................................................................ 111 第1節 ヒトのグローバル化とGDP統計の関係 ............................................ 111 第2節 法人のグローバル化に伴うGDP統計上の課題 ...................................... 113 (1)アイルランドにおけるGDP測定の問題 ............................................. 113 (2)多国籍企業の取り扱いに関するSNAの方法論の再検討 ............................... 116 (3)多国籍企業の知的財産生産物の性格 .............................................. 120 (4)直接投資統計や多国籍企業統計の整備・拡張 ...................................... 121 第3節 自然人の移動と労働者送金の整備 ............................................... 123 (1)我が国から海外への自然人の移動 ................................................ 123 (2)海外から我が国への自然人の移動 ................................................ 125 (3)労働者送金統計の国際的整備..................................................... 129 第4節 本章のまとめと今後の課題 ..................................................... 131 (補論)政府開発援助の位置づけ ...................................................... 132 終章 ................................................................................ 135, 指導教員 : 李潔, text, application/pdf}, school = {埼玉大学}, title = {グローバリゼーションの統計的把握 : カネ・モノ・サービス・ヒトの越境に対応した国民経済計算体系の拡張}, year = {2022}, yomi = {ハギノ, サトル} }