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アーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段である : 広告業界の場合
https://doi.org/10.24561/00018646
https://doi.org/10.24561/00018646ac4bc5b2-e016-489b-a5f3-4071a1284860
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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![]() |
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||||||
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公開日 | 2019-07-09 | |||||||||
タイトル | ||||||||||
タイトル | アーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段である : 広告業界の場合 | |||||||||
言語 | ja | |||||||||
言語 | ||||||||||
言語 | jpn | |||||||||
資源タイプ | ||||||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_db06 | |||||||||
資源タイプ | doctoral thesis | |||||||||
ID登録 | ||||||||||
ID登録 | 10.24561/00018646 | |||||||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||||||
アクセス権 | ||||||||||
アクセス権 | open access | |||||||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_abf2 | |||||||||
著者 |
馬, 宏宏
× 馬, 宏宏
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著者 所属 | ||||||||||
値 | 埼玉大学大学院人文社会科学研究科(博士後期課程)経済経営専攻 | |||||||||
著者 所属(別言語) | ||||||||||
値 | Graduate School of Humanities and Social Sciences, Saitama University | |||||||||
書誌 | ||||||||||
収録物名 | 博士論文(埼玉大学大学院人文社会科学研究科(博士後期課程)) | |||||||||
書誌情報 |
発行日 2018 |
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出版者名 | ||||||||||
出版者 | 埼玉大学大学院人文社会科学研究科 | |||||||||
出版者名(別言語) | ||||||||||
出版者 | Graduate School of Humanities and Social Sciences, Saitama University | |||||||||
形態 | ||||||||||
内容記述タイプ | Other | |||||||||
内容記述 | xi, 111p | |||||||||
学位授与番号 | ||||||||||
学位授与番号 | 甲第10号 | |||||||||
学位授与年月日 | ||||||||||
学位授与年月日 | 2018-09-21 | |||||||||
学位名 | ||||||||||
学位名 | 博士(経営学) | |||||||||
学位授与機関 | ||||||||||
学位授与機関識別子Scheme | kakenhi | |||||||||
学位授与機関識別子 | 12401 | |||||||||
学位授与機関名 | 埼玉大学 | |||||||||
抄録 | ||||||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||||||
内容記述 | 世界ビッグ6の総合広告代理店は、買手と売手との間の情報の非対称性による逆選抜が発生している恐れがある状況で企業買収をすることが多い。そのため企業の買収に当たり、アーンアウト(Earnout)条項を積極的に適用している。企業の買収に当たり、アーンアウト条項を適用することで買手および売手の情報の非対称性による逆選抜を回避している可能性があると考えられる。そこで本論文では、アーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段であるという役割が機能しているか否かを研究課題とした。 本論文は全体として6つの章から構成される。 序章では、本論文の背景と問題意識、そして研究の目的とその意義、本論文の構成を述べた。 第1章では、アーンアウト条項について理解するために、アーンアウト条項の特徴やIFRS3(R)およびSFAS141(R)に含まれているアーンアウト条項に関する規定とその会計処理を説明した。その会計処理の特質は、取得企業は条件付対価の取得日における公正価値を評価し、取得日後の期末に条件付対価の公正価値を再評価し、そのときに生じる差額を条件付対価再評価差額金(損益)として処理することであると明らかになった。そしてアーンアウト条項に盛り込まれる期間は1年、2年、3年、4年、5年など様々であり、また、達成されるべき特定の条件として財務的なマイルストーンが採用されることもあれば、非財務的なマイルストーンが採用されることもあり、アーンアウト条項には一定の特徴といったものがないことを発見した。 第2章では、まず2008年以前の買収案件を対象とした先行研究であるKohers and Ang[2000]、Datar et al.[2001] 、Ragozzino and Reuer[2009]の研究をレビューした。これらの先行研究では、買手が情報の非対称性による逆選抜が発生する可能性の高い状況で企業買収を行った場合(被取得企業が非上場企業の場合、他業界の企業を買収した場合、被取得企業の業界内での買収の数が少ない場合、国際買収の場合)には、アーンアウト条項を適用して情報の非対称性による逆選抜を回避したと理解していた。 次に、これらの先行研究の結果が広告業界に当てはまるか否かを確認するため、世界ビッグ6の総合広告代理店の2010年から2016年までの買収案件を考察し、分析した。その結果、世界ビッグ6の総合広告代理店は情報の非対称性による逆選抜が発生する可能性の高い状況で企業買収を行い、またアーンアウト条項を積極的に適用していたことを確認した。それにより、本論文は広告業界を対象としてアーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段となるか否かという問いを提起し、研究課題として設定した。 第3章では、2009年の買収案件を分析対象としたQuinn[2013]をレビューし、Quinn[2013]の考えに沿って本論文が採用する検証モデルを構築した。Quinn[2013]はSFAS141(R)の条件付対価の再評価差額を代理変数として使用し、アーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段であるか否かについて研究を行った。本論文のオリジナリティーは、Quinn[2013]と異なり、買収案件ごとの条件付対価再評価差額金ではなく損益計算書に計上されている条件付対価再評価差額金を使用し、取得時の条件付対価の公正価値と調査対象期間の会計年度までの公正価値の差の平均値を検証したことである。これにより、Quinn[2013]と比べてより多くの条件付対価再評価差額金をサンプルとして使用できた。 第4章では、サンプルの選定について説明し、選定されたサンプルを使用して本論文の仮説を検証した。検証の結果、広告業界において2010年~2016年の検証対象期間では、アーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段であるという仮説が立証された。この検証の結果はQuinn[2013]の結果とは逆となった。その理由は、Quinn[2013]の研究は調査対象期間が2009年から2011年であるのに対して、本論文の調査対象期間は2009年から2016年であること、すなわち、データの分析対象期間が異なることにより生じたと推定された。これを確かめるために、筆者がQuinn[2013]と同じ調査対象期間を設定して検証した結果、Quinn[2013]と同じ結果が得られた。 本論文の結果をまとめれば、まずアーンアウト条項に関する従来の知見は、アーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段であるということであった。次にQuinn[2013]の研究結果では、従来学界で築かれてきた共同知識であるアーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段であるという知見を覆した。そして本論文では広告業界のデータを使用して検証した結果、アーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段であることを証拠に基づく実証的裏付けによって立証した。この結果は、検証方法は異なるものの、Kohers and Ang[2000]、Datar et al.[2001]、Ragozzino and Reuer[2009]と同じであった。これらの先行研究と本論文の関係を図A-1にまとめた。 終章では、本論文を総括した。また、検証結果をもとに、アーンアウト条項の役割に関わるインプリケーションを提示した。すなわち、被取得企業の価値は買手が取得日に予測した公正価値よりも高く、買手は最終的に妥当な金額を売手に支払うこととなったため、アーンアウト条項を用いて情報の非対称性による逆選抜を回避するという目的を達成していることが分かった。一方、売手はアーンアウト条項付きの売買契約によって被取得企業の売却からより多くの金額を入手していることが分かった。このように、アーンアウト条項の役割が機能していることを確認した。 本論文の検証の結果、Quinn[2013]と異なり、検証対象期間が異なれば、アーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段となるという仮説を立証した。Quinn[2013]の検証期対象期間はリーマン・ショックの期間であり、不景気が影響していたため、条件付対価の公正価値が取得日の条件付対価の公正価値より下がるのは避けられなかったと思われた。一方、本論文の検証対象期間にはリーマン・ショックの期間やリーマン・ショックから景気が回復した期間が含まれたため、景気が回復するとともに最終的には売手が予測した業績が達成され、取得後の条件付対価の再評価額は取得日の条件付対価より上がったという結果になった。この研究結果はアーンアウト条項に関する研究に貢献しうると考えられる。 今後の潜在的な課題として、まず、アーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段であるという研究目的について、より体系化するためには、条件付対価の公正価値を測定しやすく、且つ財務的なマイルストーンを多数適用する広告業界と異なり、条件付対価の公正価値を測定しにくく、且つ非財務的なマイルストーンを多数適用する医薬業界の分析が不可欠だと考えられる。また、共通する点が多くあるサービス関連業界を課題として取り上げ、広告業界の分析で得た結論と同じ結論が得られるかどうかを検証することに意義があると考えられる。もし同じ結論が出るとすれば、同じ結論が出る業界の各々の特質やアーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段であることが業界共通の特質と関連することを整理できると解される。 また、買収に当たってアーンアウト条項は情報の非対称性による逆選抜を回避する手段であることを本論文では明らかにできたものの、実際にはアーンアウト条項付きの売買契約が成功するまたは失敗する原因を詳解するには至っていないことも本論文の残された課題である。その原因を分析することが本研究の結論をより確かなものとするためには必要である。残された課題は今後取り上げたいと考えている |
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目次 | ||||||||||
内容記述タイプ | Other | |||||||||
内容記述 | 図表リスト ................................................................ x 序章 ........................................................................ 1 1. 研究の背景と問題意識 ................................................... 1 2. 研究の目的と意義 ...................................................... 3 3. 論文の構成 ............................................................ 5 第1章 アーンアウト条項・条件付対価 .......................................... 7 はじめに .................................................................. 7 1.1 アーンアウト条項の特徴と役割 .......................................... 7 1.1.1 アーンアウト条項の定義 ........................................... 7 1.1.2 アーンアウト条項の役割 ............................................ 9 1.1.3 アーンアウト条項の期間 ........................................... 10 1.1.4 アーンアウト条項のマイルストーン ................................. 11 1.2 IFRS3(R)およびSFAS141(R)における条件付対価に関する規定とその処理 .... 15 1.2.1 条件付対価の適用の開始時期 ....................................... 15 1.2.2 取得日の条件付対価に関する規定と処理 ............................. 15 1.2.3 取得日後の条件付対価に関する規定と処理 ........................... 18 1.3 条件付対価における測定の信頼性 ....................................... 22 1.4 条件付対価を過大評価する ............................................ 24 小括 ..................................................................... 26 第2章 2008年以前の買収案件を対象とした先行研究 ........................... 27 はじめに ................................................................. 27 2.1 2008年以前の買収案件を対象とした先行研究の特徴....................... 27 2.2 世界ビッグ6の総合広告代理店 ......................................... 31 2.3 2010年から2016年までの世界ビッグ6の総合広告代理店の買収案件の特性 .. 33 2.3.1 被取得企業の属性(1)-上場・非上場の区別 .......................... 34 2.3.2 被取得企業の属性(2)-所在国 ...................................... 35 2.3.3 被取得企業の属性(3)-サービス分野 ................................ 44 2.3.4 被取得企業の属性の属性(4)-ベンチャー企業への投資 .............. 46 2.4 仮説の構築 .......................................................... 48 2.4.1 広告業界におけるアーンアウト条項の積極的な適用 ................... 49 2.4.2 広告業界における条件付対価負債/総負債比率の分析 .................. 50 小括 ..................................................................... 54 第3章 2009年の買収案件を対象とした先行研究 ............................... 55 はじめに ................................................................. 55 3.1 2009年の買収案件を対象とした先行研究の特徴 .......................... 55 3.2 WPPの条件付対価の開示 ............................................... 58 3.3 検証モデルの構築 .................................................... 63 3.3.1 取得日の条件付対価の公正価値の解釈 ............................... 65 3.3.2 取得日後の条件付対価の公正価値の解釈 ............................. 66 3.3.3 検証モデル ...................................................... 67 3.4 試験調査 ............................................................ 68 小括 ..................................................................... 70 第4章 検証の結果 ......................................................... 73 はじめに ................................................................. 73 4.1 選択基準―世界の広告費支出の規模 ..................................... 73 4.2 調査対象期間 ........................................................ 77 4.3 サンプルの数 ........................................................ 78 4.4 条件付対価再評価差額金の増減傾向 ..................................... 82 4.5 検証の結果 .......................................................... 86 4.6 検証結果の分析 ...................................................... 90 4.6.1 Quinn[2013]との共通点1:取得1年後の検証結果 ..................... 90 4.6.2 Quinn[2013]との共通点2:取得2年後の検証結果 .................... 91 4.6.3 Quinn[2013]との相違点 ........................................... 94 小括 ..................................................................... 97 終章 結論と展望 ........................................................... 99 1. 本論文の仮説と検証結果 ................................................ 99 2. インプリケーション ................................................... 100 3. 今後の課題 .......................................................... 102 3.1 質的調査の必要性 ................................................. 102 3.2 医薬業界の分析 ................................................... 102 3.3 サービス業界内の分析 .............................................. 103 4. 結論 ................................................................ 104 引用文献・資料一覧 ........................................................ 105 謝辞 ...................................................................... 111 |
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注記 | ||||||||||
内容記述タイプ | Other | |||||||||
内容記述 | 主指導教員 : 末松栄一郎 | |||||||||
版 | ||||||||||
値 | [出版社版] | |||||||||
著者版フラグ | ||||||||||
出版タイプ | VoR | |||||||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85 | |||||||||
資源タイプ | ||||||||||
内容記述タイプ | Other | |||||||||
内容記述 | text | |||||||||
フォーマット | ||||||||||
内容記述タイプ | Other | |||||||||
内容記述 | application/pdf | |||||||||
作成日 | ||||||||||
日付 | 2019-07-09 | |||||||||
日付タイプ | Created | |||||||||
アイテムID | ||||||||||
値 | GD0001011 |